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「夏に咲く 桜と恋の ものがたり」
この街には縁結びの神社があるらしい。
名前を新良城(あたらぎ)神社。
高い高い階段を昇った先にあるこの神社には、何故か真夏にだけ花を咲かせる桜のご神木があって、
『この桜が花を満開にさせた時、
恋しあう男女が枝に紐を結ぶと、
2人は永遠に幸せになれる』
という逸話があるそうだ。
そんな話を夏休みの直前、親友の 桐原 大樹(きりはら・たいき) から聞かされて、
恋愛祈願に付き合わされた俺が出会ったのは、巫女姿の少女、 新良城 紗々弥(あたらぎ・ささや) 。
実は同じ学園の先輩で、数日後、俺の家の前でバッタリ鉢合わせた彼女に
「あなたが……好きです」
なんて告白されてしまった。
しかも彼女を皮切りに、ほぼ同じタイミングで3人からも──
幼馴染でクラスメートの 水森 明日夏(みなもり・あすか) 。
明日夏と仲良しの 五十鈴 えみり(いすず・えみり) 。
親友である大樹の妹・ 桐原 小枝(きりはら・こえだ) 。
これはただの偶然か?
それとも、恋を紡ぐ桜のせいなのか?
俺、 真木 智哉(まき・ともや) の日常に、遅咲きの桜が花開こうとしていた。
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